良くある質問(食物アレルギー)

アレルギー検査で陽性と判定された食物を食べてもとくに問題がない場合は、食べ続けてもよいのでしょうか。
IgE抗体が陽性であることが、食物アレルギー、ぜんそく、鼻炎の診断と同じではありません。食物アレルギーの診断の基本は、特定の食物を食べて症状が出て、なおかつIgE抗体の存在が証明されることです。陽性だが症状が出ないものを食べ続けてどうなるかという問題ですが、通常は問題ないと考えて結構です。幼稚園や小学校ぐらいのお子さんでしたら、イネ科の雑草の花粉に反応する方が米や小麦に、ダニに反応する方がエビやカニに反応が出てくることはしばしば認めます。そのようなことを交差抗原性といいIgE抗体は陽性になりますが、検査上の陽性というだけでほとんど臨床的な意義はありません。
食物アレルギーの経口免疫療法について教えてください。
食物アレルギーの治療は今のところ、正確な診断に基づいて原因食物を除去し、耐性の獲得ができていることを負荷試験で検証しながら、食物除去を解除する方法をとっています。患者さんの大多数は治ることが期待されていますが、学童期になっても治らず、重篤な症状を引き起こす患者が少なからずいることが大きな課題でした。経口免疫療法はこうしたお子さんに原因食物を摂取させて、治す方向へ誘導する治療法です。この治療の利点は、単に食べられるようにするだけでなく、アナフィラキシーショックに陥る可能性を低くできることです。相模原病院小児科では2008年から取り組みを開始しました。具体的には、まず負荷試験で症状が出る閾値を確認し、入院して十分な安全策をとったうえで、摂取できる量を増やし、その後は在宅で維持しますが、良好な結果が得られています。しかしまだ標準的なプロトコルはなく、リスクも伴います。単に「食べれば治る」というものではないことを知っていただきたいと思います。
成人の場合、自分で打つ治療補助薬のエピペンはどうですか。
アナフィラキシーショックの既往がある、または、意識が無くなったとか、喉がふさがって苦しくなった、顔がパンパンに腫れたなどがある方は、やはり持っていていただいた方がいいです。打てば急速によくなります。1~2年しかもちませんが、とてもよい補助治療薬です。ただしあくまで補助治療薬ですので、使ったらすぐに病院を受診して下さい。
食物アレルギーを持つ子が入学するとき、どのように学校に伝えたらいいでしょうか。
お母さん方がいつも緊張する場面だと思います。担任の先生の認識の度合いによって、理解し、協力していただける場合と、わかってもらえなくてつらい思いをする場合があります。私が実際にやってみて一番よかったのは、話し合いをするときに前もって学校側にお願いをして、校長先生、養護の先生、担任の先生、栄養士の先生、そういう複数の方々と話し合う場をもっていただくこと。そして、その場にお父さんにもいていただくことです。ご夫妻そろって臨みますと、お母さんの思い込みだという誤解を防ぐことができます。また、複数で聞いていただけば、栄養士さんや養護の先生が食物アレルギーの研修を受けておられた場合には、担任の先生にも助言して下さったりします。相談をするときには医師の意見書とか診断書をいただいておいたほうが、やはり信頼のできるところで検査をしていただいたということで、きちんとした対応に変わっていくのではないかと思います。
血液検査で食物アレルギーの診断ができますか? もしくは重篤度、重症度が判断できるのでしょうか。
これはできません。血液検査の値から判ることは、負荷試験をしたときに陽性(食べられない)なのか陰性なのかの見当がつくくらいで、最終的には負荷試験(原因物質を食べてみる検査)を実施してみなければわかりません。検査結果からショックの危険性の高低も判りませんし、検査が陰性でも安心はできません。血液検査が陰性でも、負荷試験で陽性になることが少なからずあります。血液検査の結果はそれを手がかりに、負荷試験を実施し、診断することに使われます。
子どもが2歳ごろキウイフルーツを食べて唇があっという間に膨れ上がってしまいました。キウイフルーツがだめなら、これからどんな食べ物を食べたら同じような反応が出るのか検査できますか。
基本的には検査をして大丈夫なものを食べるというより、普通に食べていってから万が一反応が出たら、そこで初めて検査して、検査結果が悪かった場合は摂取を控えます。血液検査をして検査結果が悪くても、本当は食べられるということもあるので、やみくもに検査する方法は進めていません。現在の食物アレルギーの考え方は症状が出るものの摂取をやめるということです。
鶏卵アレルギー患者は鶏肉や魚卵も除去するべきですか?
よく誤解されていますが、その必要はまったくありません。鶏肉・鶏卵・魚卵の3つの関係や、牛肉・牛乳の関係もよくいわれます。これは交叉抗原性というメカニズムから説明できます。IgEというのはアレルギー反応に必要な物質であって、特定の原因物質を基本的に1対1で認識します。しかし中には認識する部分が似ているとIgEが間違って認識して反応してしまうことがあります。これを交叉抗原性といい、これが食物間にどれくらいあるかを調べることにより理論的に説明できます。鶏肉と鶏卵と魚卵との間には交叉抗原性はないので、鶏卵アレルギーだからといって鶏肉や魚卵をやめる必要はないのです。牛乳と牛肉も同様に関係はありません。大豆アレルギーと診断されても、すべての豆類を最初から無条件にやめる必要はないです。逆に、エビとカニは関係が強く、エビアレルギーの人はカニも、カニアレルギーの人はエビも食べられないことがほとんどです。また甲殻類アレルギーと診断されたら、軟体類・貝類にも注意し、少量から食べるという工夫をしていくとよいと思います。リンゴとシラカバ花粉も交叉性があり、シラカバ花粉症の人がリンゴを食べてアレルギー症状を起こすことがあります。リンゴアレルギーを代表とする野菜・果物アレルギーの特徴は、口の周りが赤くなる、口の中がはれる、かゆくなるといった口の周囲の症状で、8~9割はこれだけで終わってしまいます。これを口腔アレルギー症候群(OAS)といいます。しかし全身症状がでる可能性も5%ぐらいあります。シラカバはハンノキ科で、ハンノキアレルギーは小児、成人共に増加しています。それに伴い野菜・果物アレルギーも増えています。
現在大学1年生の子供。食後に運動を続けているとアレルギーが起きてきます。食物依存性運動誘発アナフィラキシーといわれ、薬はじんましんがでたとき使用しています。検査の結果は全部マイナス。負荷テストでも結果は何もでませんでした。このアナフィラキシーについて教えてください。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーという疾患です。これは特定の食物を食べただけ、運動しただけでは症状はでません。ある特定の食物を摂って、そのあと運動することでアナフィラキシーがでるという、非常に特殊な食物アレルギーと位置づけられています。実際に調べると、1万2000人に1名ぐらいしかいない稀な疾患です。
薬はじんましんの症状を抑える意味では必要だと思いますが、ふだん飲んでおく必要はありません。抗ヒスタミン剤というのは予防効果というより、じんましんがでてから効果があります。ただ、抗ヒスタミン剤を使っても、アナフィラキシーがでると顔がパンパンに腫れたり、呼吸困難を起こしたりする人が多く見られます。その急性期の状態を押さえ込むには最終的にはアドレナリン(エピペン)しかありません。症状がでたときに備えて薬を持ち、早め早めに抗ヒスタミン剤を内服し、必要に応じてアドレナリンの自己注射、救急病院受診を行う対処を行います。食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、原因食材は小麦と甲殻類が1、2位を占めますが、稀にひとつの食材では症状が出ず、特定の組合せ(たとえば小麦と米)で起きることもあります。2つの食材プラス運動によって症状がでるので、重なったものをひとつひとつメモし、そのデータを基に調べていき、診断します。
幼稚園児ですが、乳児のときに卵白アレルギーで生の卵白を除去していました。現在は卵の数値も下がって問題ないのに、卵料理を出すと、はき出して蕁麻疹のようなものが出ます。心理的なものでしょうか。
専門病院で負荷試験を受け、色のイメージや匂いを隠した形で実際食べて、それで本当にアレルギーかどうかを確かめるのがいいと思います。卵アレルギーでないのであれば、食べられる経緯をつけ、ご本人に自信を持ってもらうしか方法はないかもしれません。